予約する前に知りたい!WILLER EXPRESSの安全性
公開日:2017/05/24
更新日:2020/11/05
「今度、はじめて高速バスに乗ろうかなと思っているんだ」
そう軽い気持ちで家族に話したら、「大丈夫なの?」と心配された。
――そんなケース、チラホラあるようです。
無理ないことかもしれません。
高速バスに乗りなれていない人にとっては、以前テレビで見た事故のニュース、それが最も強い印象をもっているでしょうから。
運転手さんの健康管理、車両の点検、危険の察知・防止――私たち乗客が求めたいことはたくさんあります。
では、これまでの事故に対し、バス会社はどう考え、安全に対しどう取り組んでいるのでしょうか。
高速バス『WILLER EXPRESS(ウィラーエクスプレス)』を統括・管理するWILLER GROUPの方にインタビューしてみました。
『WILLER EXPRESS』といえば、高速バス最大手の一つ。”ピンクのバス”としても知られています。独自開発のシートや自社専用バスターミナルの設置など、独自の取り組みでニュースになることも多いバスブランドです。
特徴的なペイントの車両、街で見かけたことがあるかもしれません。
とはいえ、乗ったことは無いという方もいらっしゃるはず。
ここでは、”そもそも『WILLER EXPRESS』って?”
……そういった基本的なところから、ご紹介しますね。
1.バス会社の”中の人”インタビュー
~WILLER EXPRESS 安全編~
まず、ご自身の自己紹介をお願いいたします!
WILLER株式会社で、広報を担当しています。高速バス『WILLER EXPRESS』に関する情報を発信したり、新サービスなどの展開をリリースしたりと、広く皆さまにWILLER GROUPの情報をお届けする役割を担っています。
高速バスで知られる会社にいらっしゃると、やはりよくバスを利用されるのでしょうか。
中学生のときからバスは身近な存在です。通学では、毎日地元の路線バスに乗っていました。運転手さんと仲良くなって、親切にしてもらったのはいい思い出です。
大学生のときは、高速バスが就活の強い味方でした。
大学生の高速バス利用はとても多いですものね。就職活動シーズンには特によく見かけます。
そうですよね。社会人になった今も、高速バスにはよく乗ります。WILLER GROUPは日本各地で展開していますので、仕事柄、出張で利用することも多いです。
バス会社だからバスに乗っている、というわけでなく、いろんな交通機関と比べても高速バスしかない、というケースが多くて。仕事をすませて夜に帰りたいとき、他の交通機関ではスケジュールが合わない場合ですとか。ちなみに来週も、新潟から大阪へバス移動の予定です。
WILLER EXPRESSとは
――ピンクのバス”で知られる、高速バスの代表格
それなら、利用者側からの目線もよくご存じですね。
では、本題です。
御社についてまず、簡単にご紹介いただけますでしょうか。
高速バスWILLER EXPRESSを運行する当社は、今年で創業23年を迎えます。『旅する世界を快適に、旅する人生を幸せに』を企業理念とし、新しい取り組みに挑戦し続けてきました。
新しい取り組みとは、どういったことでしょうか。
一つは、高速バスを女性にとって身近なものに変えるための取り組み、ですね。
たとえば10年くらい前だと、高速バス=男性の利用が多いイメージがあったと思います。車内外のデザインも、少し硬い印象をうけるものが各社で採用されていることが多くて。
そうですね。女性同士で夜行バスの旅、というのは今ほど一般的ではなかった印象があります。
それはもったいないな、という想いがありまして。まず親しみをもってもらいやすいよう、車体は柔らかな印象のピンクと白の組み合わせに統一しました。
シンプルですよね。けれど、大型バスターミナルでいろんなバスが並んでいると、目立っています。ロゴの書体を含め、なんというか今風で、20歳前後の女性が乗っても、他のバスに比べて違和感がない。
「WILLERといえば」というイメージが定着したと思います。
また、女性にとって気になるポイント、たとえば清潔感も大切にしています。バスの座席って、濃い色のイメージがありませんか。
紺色、深緑色、えんじ色とか。
シートは長年にわたって利用するもの。ですから、汚れの目立ちにくい色が選ばれることが多いです。
けれど私たちは、クリーンな印象を与える色、バスに乗るのが楽しくなる色を選びました。汚れたら洗えばいい。あるいは取り換える。コストはかかりますが、女性にとっては、そういった安心感・親しみやすさが重要です。
御社は様々なシートを開発されていることでも、よく知られていますね。
はい、個室のような区切りを設けてプライバシーに配慮した『COCOON』や、寝顔を隠せる『Relax Series』など、女性に嬉しい機能を搭載した15種類のオリジナルシートを開発してきました。これらの試みが多くの支持を頂戴することになり、今ではお客様の6割が女性です。
半数以上が女性というのは、なかなか珍しいです。そういった取り組みが、WILLERグループの成長につながったんですね。
嬉しい限りです。最初は大都市間のみの運行からスタートしましたが、現在は日本中に拡大し、毎日21路線280便を運行しています。
かなり広範囲に路線がありますね。
北は青森から南は福岡まで路線を展開しております。
一方、それだけ多くの方からご利用いただけるようになった以上、企業としての責任も大きいと考えています。快適性の高いシート開発はもちろん継続しておりますが、近年、もっとも注力しているのは安全性の向上ですね。
ドライバーの状態を一人ひとり把握する『FEELythm』システム
なるほど。では安全性の向上に関し、代表的な取り組みについて教えてください。
大きなトピックスとしては、眠気予兆検知ウェアラブルセンサー『FEELythm』の全車導入ですね。
これはドライバーの耳と首に装着するもので、本人が自覚していない眠気を耳の脈波で検知し、リアルタイムでドライバーと管制室に通知するシステムです。
ドライバーへはどのように通知するのですか。
首につけた装置から振動を起こし、注意をうながしてくれます。また、営業所にいる運行管理者にも、眠気の検知を含めたバスの運行状況がリアルタイムで共有されるのが特徴です。
このような取り組みがあるのですね。あまり聞かないので驚きました。
そうかもしれないですね、それだけ安全性にはこだわっています。
『FEELythm』は、ドライバー本人が気づかない眠気の予兆を感知できます。くわえて、疲れが出やすいタイミングなど、個人にあわせたデータを管理できるので、大きな事故を防げています。さらに、車庫に入れる時にこするなどの小さなミスも半減してきました。
リアルタイムで通知する、というのが大きなポイントだと思いました。
『FEELythm』に加え、車載カメラで走行中の様子も営業所で確認可能です。何かあってからではなく、起こる前にサポートする体制を構築しています。
健康起因の事故を予防するために、日々の健康管理もぬかりなく
他に何か取り組みがあれば教えてください。
一般的な健康診断の検査項目に加え、脳ドックや、睡眠時無呼吸症候群スクリーニング検査、心不全や動脈硬化の指標となる検査など、あらゆるリスクの予防に努めています。
それに加えて、抜き打ちでテストを行なうこともあります。常に緊張感を持って仕事に取り組める環境も大切だからです。また、優良ドライバーの認定制度をつくり、優秀なドライバーの仕事ぶりをしっかり称える制度もつくっています。
高い安全性を確認した自社オリジナル車両の導入
御社ではどのような車両を導入していらっしゃいますか。
WILLER EXPRESSで扱うバス車両は、新車のみ。新しい車に入れ替えるサイクルは5年~8年です。
お、全ての車両は法律上必須となっている乗務員による出発点検のほか、弊社の整備士が毎日一台ずつ丁寧に点検を行なっております。
シートはすべて自社オリジナル開発のもの。種類ごとに衝突実験などを行ない高い安全性を確認しています。
ちなみに、小さなところだと、車内でお使いいただけるブランケットにもちょっとしたこだわりが。飛行機と同等の基準を満たす難燃性のものを導入しています。
車両の安全性へのこだわりは、細部まで徹底されておられますね。
今後何か新しい取り組みはありますか?
現在は『FEELythm』でドライバーの健康状態を管理していますが、今後はこれらをより有効活用していきたいです。『FEELythm』はデジタコ・ドラレコと連動させているので、そこから分かるヒヤリハットをグループ会社に共有しています。今後はそのGPS機能を顧客サービスにも活かしていきたいと考えています。
一人ひとりの走行状況などが、詳しく分かりそうですね。
そのとおりです。また、「このドライバーは朝方調子がいい」という風に、それぞれが最もよいパフォーマンスを発揮できる時間帯も分かります。このシステムにより、いっそう効率の良いシフト編成に活かせると考えています。こういった取り組みを行うことで、安全と安心をお客様に提供していきます。
最後に一言お願いします。
当社では『旅する世界を快適に、旅する人生を幸せに』という想いを実現すべく、日々取り組んでいます。全てのお客様が行きたい場所へ簡単に、安心して行ける社会をつくるために全力を尽くすことがWILLER GROUP全体のミッションです。
これからも私たちにしかできない方法で、旅する社会を変えていくために力を注ぎ続けます。観光にビジネスに、ぜひWILLER EXPRESSでのひとときを安心してお過ごしいただけると幸いです。
ありがとうございました!
2.インタビューを終えて
大手バス会社だけに、ちゃんと対策はしているだろうとは思っていた安全性。
ただ、「ここまでしていたとは」というのが、率直な感想でした。
インタビュアーがいいなと特に思ったのは、”リアルタイムで運転状況を把握している”ということ。
ドライブレコーダーはかなり普及しました。が、これはあくまで、何かが起こった”あと”に役立つもの。それでは遅いのでは、と個人的に思っていました。
車載カメラに加え、運転手の眠気をリアルタイムで把握している、というのは、他の交通機関でもなかなかないのではないでしょうか。
しかも、200台を超えるバス車両すべてでこの仕組みを導入するのは、簡単なことではありません。
最先端のIoT技術を取り入れつつ、健康管理も徹底。これからも、年間200万人を超える乗客に安心を提供し続けてほしいなと思いました。
2017年5月時点のインタビューです。
※本記事は、2020/11/05に公開されています。最新の情報とは異なる可能性があります。
※バス車両撮影時には、通行・運行の妨げにならないよう十分に配慮して撮影を行っています。