WILLER EXPRESS「ラクシア」普通の高速バスとどう違う?徹底検証

公開日:2018/06/30

更新日:2021/01/08

WILLER EXPRESS「ラクシア」普通の高速バスとどう違う?徹底検証

高速バスに乗ろうと思うけれど、安ければなんでもいいワケじゃない。
そんな人にとって、候補になる高速バスの一つが、WILLER EXPRESSの「ラクシア」です。

WILLER EXPRESSは、日本最大級のバス会社。
高速バス・空港バスあわせて21路線280便を運行(2020年12月末時点)しています。
そのほとんどが、かつて遠足などで乗った”普通のバス”よりシートや車内設備にこだわった、ワンランク上のバス。

「ラクシア」は、そんなWILLERの高速バスの中でも、高級車両に位置します。

でも、”高級”ってどうすごいの?料金が高くなるだけの価値はあるの?

納得して予約するために知りたい、「ラクシア」の強み(そして弱み)をここでは徹底検証します!

1.1分でわかる!そもそも「ラクシア」とは

1.1分でわかる!そもそも「ラクシア」とは

ラクシアの基本情報をまずはまとめて見てみましょう!

  • 高速バス大手、WILLEREXPRESSが運行する高速バスの一種
  • 全席3列独立シート
  • 一人当たりのスペースが広い(全24席。普通のバスは約44~48席)
  • コンセントや座席間カーテン、特別に開発されたクッション配備など工夫がたくさん
  • 車両内にトイレは無し
  • 運行区間は関東⇄名古屋・浜松間。

料金は他のシートタイプと比べると、決して格安ではないですが、
”ちゃんと寝たい!” ”次の日、元気に行動したい!”という方にはピッタリ。
それでは、もう少し詳しくみていきましょう。

2.普通のバスとどう違う?11項目で比較してみた

高速バスに乗りなれていない方には、”ラクシアは快適!”と言われても、ピンとこないかもしれません。
そこで、一般的で格安な高速バスと見比べてみたいと思います。

2-1.スタンダード格安バスとの比較表

高速バスの中で多いのは、「4列シート」「スタンダード」とも呼ばれる、観光バスタイプ。
遠足やバスツアーで利用される、真ん中に通路(補助席になることも)があり左右に2席ずつあるバスです。

WILLER EXPRESSでも、この4列シートタイプが「スタンダード」タイプという名称で運行されています。
下記は「スタンダード」と「ラクシア」がどう違うのか、比較した表です。

内容ラクシアスタンダード
座席数24席約44~48席
座席配置横3×縦8横4×縦11~12
隣席との距離完全分離肘置きごしに隣接
リクライニング最大角度145°120°
前後シート間隔116cm約75cm
シート幅(座席の横幅)51.5cm約42cm
座席間カーテンあり無し
コンセントあり無し
フットレストあり無し
レッグレスト無し無し
関東⇔名古屋・浜松間の料金5,200円~3,900円~

分かりやすいのは、一人当たりの広さと料金ではないでしょうか。
普通44~48席あるところ、ラクシアは24席。単純計算で、一人当たり約1.6倍の広さ!
とくにシートの前後間隔の広さからくる足元のスペースは、楽な姿勢をとりたい車中泊でありがたいところ。

2.普通のバスとどう違う?11項目で比較してみた

近年人気の設備であるコンセントや、
定番設備であるドリンクホルダーは、椅子の下部に用意されています。

2.普通のバスとどう違う?11項目で比較してみた

また、ひじかけにはドリンクホルダー付きテーブルが(写真を撮り損ねてしまった……残念!)。
かばんの中身を整理したり、バスを降りる前に身支度整えたり、テーブルがあると何かと便利ですよね。

一方で料金は、やはり大きく差がつくところ。

以前、「高速バスに乗る理由」の第一位は「安いから」というアンケート結果がありました。
そして「ラクシア」より安い高速バスは正直たくさんあります。
それでも、予約サイトの空席状況を見ていると、週末ともなればほとんどの席が埋まっていました。

ということは、それだけの価値があるはず。そこで今回、WILLER EXPRESSの車庫へ取材しにいってきました。

3.実際に車内を見てわかった、ラクシアの強み

3.実際に車内を見てわかった、ラクシアの強み

3-1.一人当たりのスペースは普通の約1.6倍!

まず、前後の間隔がスタンダードタイプより約40cm広い。
これはかなり大きいです。

いまお座りになって読んでいる方は、足元を見てください。
つま先から前に40cm先、と考えるとけっこう間隔が広いですよね。

この前後間隔の広さは、リクライニングをどこまで倒せるか、に直結します。
後ろの人との距離が遠いほど、安心して背もたれを倒せます。

また、座面の広さも魅力。
「スタンダード」の横幅約42cmは、一般的なオフィスチェアと同じくらい。
「ラクシア」は左右に握りこぶしをつけたくらい、横幅が広いです。
寝返りの代わりに座る姿勢を変えたい高速バスでは、この約10cmが大きい!

3-2.寝心地にこだわったシート

3.実際に車内を見てわかった、ラクシアの強み

各座席に用意されていたシートの説明

一見ふつうの座席。
ところが、座ってみるとなんだかフィット感が違うような……

ざっくりといえば「なんだかいい感じ」なのですが、理由がわからない。
WILLERの方にきくと、驚きの事実が。
背もたれ・座面・腰の3つのパーツで、実は入っているクッション素材が違うのだそう。
それぞれ、寝心地の良さを追求して組み合わされているそうです。

見てください、ヘッド部分のこの分厚さ!

3.実際に車内を見てわかった、ラクシアの強み

レッグレストもかなりのクッション性。

3.実際に車内を見てわかった、ラクシアの強み

iPhone8と横幅を比べてみました

3-3.一人ずつに用意された収納スペースと座席間カーテン

3.実際に車内を見てわかった、ラクシアの強み

天井を見上げてみると、二つのことに気づきました。

一つは、通常は窓側にしかない頭上の収納スペース(電車でいう網棚スペース)が、真ん中の座席列の上にもあること。
これで、窓側列の人だけでなく、中央列の人もコートなどを収納できます。

そしてカーテン。
真ん中の列を含め、全席にカーテンがあるのはラクシアの強みです。

座席間カーテンがついた高速バスは3列独立シートによく見られ、
左窓側席―中央列席のあいだの通路、
中央列席―右窓側席のあいだの通路、
2列に各1枚のカーテンが設置されているケースが少なくありません。
この場合、中央列の人は「窓側席の人はカーテンを開けて休憩に出かけたけれど、私は閉めて寝ていたい」という状況になりがちです。

ラクシアでは、通路に2枚カーテンを用意。一人ひとりが開け閉めできます。

WILLER EXPRESSは、もともと女性の利用者が多いとのこと。
その理由の一つに、「ラクシア」にはありませんが、顔を隠して眠れるカバー”カノピー”というWILLER独自の設備があります。

女性にとって、寝顔を見られるのがイヤというのはやはり高速バスでの大きな悩み。
「ラクシア」では、一人ずつ使えるカーテン(MYカーテン)を用意することで、その悩みに応えた形です。

3-4.木目調の床、優しい色合いのシート。コンセプトは……

次に足元へ目線を移すと、いわゆる”バス”のイメージと異なる、木目調であることに気づきました。

3.実際に車内を見てわかった、ラクシアの強み

WILLERの方に聞いてみると、ラクシアは女性、その中でも安さだけを最重視するのでなく、
快適性もちゃんと確保したい、社会人をイメージしているとのこと。

名前の由来は、「ラグジュアリー」+「楽」で「幸せ」だそうです。

内装でこだわったのは、リビングのソファでくつろいでいるようなイメージ。
肘置きには本物の木を用い、床も木目調。シートも記事も、布の質感が心地よく、柔らかなイエローを選んだそうです。

4.料金

路線・シート別料金表を見てみました。(2020年冬時点)

4-1.多客期は新幹線に迫る料金に

比較ポイントラクシアスタンダード
関東⇔名古屋・浜松間の料金5,200円~3,900円~

高速バス一台に乗る人数が多ければ、一人当たりの料金は基本的に下がります。
スタンダードの場合は最大で約48名が搭乗でき、そのぶん格安。
ラクシアは最大24名なのでお値段も上がります。

新幹線と比較すると、通常14,650円(東京⇔新大阪間 のぞみ指定席)なので、
約8,000円の節約効果と、夜の間に移動する時短効果があります。

しかし繁忙期は1万円を超える場合も。
スタンダードシートでさえ5,000円以上になる可能性もあるので、
何を優先して妥協をするか、というところになりますね。

時間の都合上、夜に移動したい(用事が夜まである、明日の朝早くに予定がある)、
なおかつ睡眠はある程度とりたい、
という方には「ラクシア」は有力な候補になるのではないでしょうか。

5.乗客はどんな層?

WILLERの方にきくと、乗客は女性が6割前後だそう。
また、快適性重視で少し価格帯はやや高め設定のため
社会人の比率が他のバスより高いそう。

「ラクシア」企画時に女性をイメージして作った、というコンセプトは見事にヒットしている模様です。

6.総合評価!こんな人におすすめ、こんなときは要検討

6.総合評価!こんな人におすすめ、こんなときは要検討

ここまでご覧になって、どんな感想を持たれたでしょうか。
高速バスを10年近く愛用している一高速バスファンとしては、「到着後に予定があるときは、ぜひ検討したい」バスだと考えています。

正直なところ、「ラクシア」より安い高速バスはたくさんあります。
4列シート(普通の観光バスタイプ)であれば、半額以下で乗れるバス会社もあるでしょう。

ただ、高速バスに乗って移動する目的が誰しもあるはず。
それが、「実家に帰るため」だけで、バス降車後は特に用事が無いなら、他のバスでもいいかもしれません。
けれど、バスを降りたあとテーマパークへ行くだとか、
就職活動があるだとか、大切な予定があるならどれだけきちんと睡眠をとれるかが重要。
その点、「ラクシア」は期待できます。

今までいろんな高速バスに乗ったのですが、
疲れてしまったという経験も少なくありません。

4列シートで、隣の人が気になってしまった。
カーテン無しのシートで、前の人が触っているスマホの明かりがまぶしかった。
足元が狭くて、ちょうどいい姿勢がなかなか見つからなかった。
レッグレストが無くて、バスを降りたらパンプスが履けないくらい足がむくんでいた。
腰が痛くなりそうで、なんども寝返りを打った……などなど。

そんな経験がある方にはぜひ一度お試しいただきたい、
「楽」で「幸せ」を目指したこだわりたっぷりの高速バスが、「ラクシア」です。

※本記事は、2021/01/08に公開されています。最新の情報とは異なる可能性があります。
※バス車両撮影時には、通行・運行の妨げにならないよう十分に配慮して撮影を行っています。

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